昨年3月11日に起きた東日本大震災からちょうど一年。
昨日は皆様もさまざまな思いを胸に一日をお過ごしになったのではないでしょうか。
あの震災は、直接的ではないにしても
本作が生まれるきっかけのひとつでもあったようです。
自然の営みの中で変わりゆくもの。
変わらないもの。
はかなくも力強く、
脅威とも安らぎともなるもの。
言葉だけでは言い表すことのできない、
自然と人と、そして時の流れをじっくりと見つめて、描き出そうとする
遠山監督の世界観に、私たちスタッフも、日増しに魅了されていくのを感じます。
監督、遠山昇司のメッセージをアップしています。
ストーリーや関連する写真、トレイラーなども公開しておりますので、
併せてご覧いただくと、また何かを感じていただけるのではないでしょうか。
(以下、監督メッセージ部分のみ引用させていただきます)
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世界は大きな夜に包まれているような気がしている。
ドキュメンタリー映画『グレーのバリエーション』を公開してから2年が経ち、
その間僕の中で映画を作りたいという気持ちは生まれなかった。
2011年3月11日の震災を経験した僕は、無常観とともに熊本へ一度帰った。
そこで、一緒に映画を作りたいという人々と出会いこの映画が生まれようとしている。
またやって来たからといって
春を恨んだりはしない
例年のように自分の義務を
果たしているからといって
春を責めたりはしない
わかっている わたしがいくら悲しくても
そのせいで緑の萌えるのが止まったりはしないと
春を恨んだりはしない
例年のように自分の義務を
果たしているからといって
春を責めたりはしない
わかっている わたしがいくら悲しくても
そのせいで緑の萌えるのが止まったりはしないと
(『終わりと始まり』ヴィスワヴァ・シンボルスカ著/沼野充義訳より)
この言葉は、僕が愛する詩人ヴィスワヴァ・シンボルスカの『眺めとの別れ』という詩の一節。
人は確かにわかっている。
それでも確認したいから何かを生み出すのだと僕は思っている。
それは、希望なのかもしれない。
それは、希望なのかもしれない。
世界は大きな夜に包まれているような気がしているが、
同時に宇宙によって所有されている気もしている。
「夜はみじかい」ということではなく、
ただ「夜はながくない」というただそれだけの希望を描く。
遠山昇司
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